ゲスト:熊本誠太(銀峯陶器株式会社 専務取締役 / 株式会社GMP 代表取締役)
インタビュアー:竹内巧
竹内巧:
本日は、麗澤瑞浪高校の卒業生サイトインタビューにお越しいただきありがとうございます。熊本さん、銀峯陶器とGMPでの挑戦についてお伺いします。まず、銀峯陶器に戻ってから8年が経ちましたが、その間どのような変化があったのか、簡単に教えてください。
熊本誠太:
ありがとうございます。そうですね、銀峯陶器に戻ったのは2017年ですが、当初は設計部門で製品開発に携わっていました。しかし、売上が右肩下がりとなる中で、このままではいけないと感じ、自社で製品を企画し販売することが必要だと思いました。そこからGMPを立ち上げ、国内外への新しい販路の開拓に挑戦しています。
竹内巧:
なるほど。GMPを立ち上げた背景には、どんな思いがあったのですか?
熊本誠太:
やはり、会社が存続するためには新しい方向性が必要でした。従来の問屋取引だけではなく、私たち自身が自らの手で販売する力を持つことが、今後の成長に不可欠だと感じたんです。最初は輸出を中心に活動していましたが、最近では国内の百貨店とも取引が始まり、順調に販路が広がっています。
竹内巧:
売上が下がっている中で、危機感から立ち上げたGMPですが、その原動力となるものは何でしょうか?
熊本誠太:
私が感じたのは、このままではいけないという強烈な危機感です。入社して1年目に見た決算書がきっかけでした。過去20年分のデータを振り返り、売上が下がり続けている現実を直視しました。その時、このままでは確実に会社が終わってしまうという思いがあり、なんとかしなければという強い気持ちが原動力になっています。
竹内巧:
自らの手で未来を切り開くという強い意志を感じます。現在の目標はどこにありますか?銀峯陶器とGMPの今後のビジョンを教えてください。
熊本誠太:
目指すのは、製造から販売までを一貫して行う「製販一貫体制」です。これまで銀峯陶器は製造に特化していましたが、自社で販売も行い、消費者との直接的なつながりを持つことが重要です。GMPとしても、まだ販売に関するノウハウや人材が整っていないので、それを強化し、会社が自立して安定的に運営できる体制を築くことが目標です。
竹内巧:
新しい商品開発や販売戦略を進めている中で、土鍋を「調理道具」としてもっと広く使ってもらいたいというメッセージが印象的です。どのように土鍋の可能性を広げていきたいと考えていますか?
熊本誠太:
土鍋は、鍋料理だけでなく、煮物や蒸し料理、炒め物など、さまざまな料理に使える優れた道具です。しかし、一般的には冬の鍋料理のためだけに使われることが多いのが現実です。私たちは、この土鍋の多用途性をもっと広く伝え、季節を問わず使える調理道具としての価値を広めたいと考えています。実際に、最近では土鍋でご飯を炊くという文化が広まりつつあり、これをさらに拡大していきたいですね。
竹内巧:
土鍋の価値を再発見し、それを新しい形で提案していくのですね。最後に、麗澤瑞浪での経験が、今の仕事にどのように活かされているかを教えていただけますか?
熊本誠太:
麗澤瑞浪での6年間は、私にとって本当に貴重な時間でした。テニス部に打ち込んで、一つのことに集中する姿勢が身に付きました。当時はスマートフォンもなく、誘惑の少ない環境で自分の目標に没頭できる日々を過ごしました。社会に出ると、どうしても誘惑が多く、さまざまな選択肢がありますが、今でもその集中力は仕事に生かされています。この精神的な習慣が、今の事業に大きく貢献していると感じています。
竹内巧:
ありがとうございました。熊本さんの挑戦は、多くの卒業生にとって大きな励みになると思います。今後の活躍を楽しみにしています。