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第１３５６号 報道しない力
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『日本講演新聞』2024年3月4日3014号で、北朝鮮による
拉致被害者家族連絡会代表の横田拓也さんが、マスコミの
報道しない力について以下のように述べていました。
姉が突然いなくなってから11年後の1988年3月26日、
国家公安院長が国会の参議院予算委員会の中で
「北朝鮮による拉致の疑いが濃厚である」と発言し、
その記事が産経新聞に小さく載りました。
しかし、他の大手報道機関は黙殺しました。おそらく
何かに忖度して行動しなかったと思います。そのことで
国民は知る機会を失ったのです。これがマスコミの実態です。
マスコミの力は「正しいことを報道する力」「間違ったことを
報道する力」そしてもう一つあります。それは「報道しない力」
です。この三つ目の力によって私たちの人権問題は黙殺されたのです。
あるメディアはこの問題を取り上げ、「北朝鮮が拉致する
はずがないじゃないか」と、名のある大学教授を登場させ、
私たちとは真逆の主張を繰り広げていました。そういう
マスコミや著名人が何の責任も取らないまま、今に至っています。
そんな中、私の親世代が1997年3月、「家族会」を設立し、
拉致被害者救出に向けて動き始めました。まず街頭署名活動
を始めました。ただマスコミが報道しないので、
「めぐみちゃんを北朝鮮から救出してほしい」と訴えても、
多くの国民は知らないので、署名用紙の前をたくさんの人が
通り過ぎていきました。中には、近寄ってきたかと思うと
署名用紙のある画板を叩き落す人もいました。
その一方で、私が炎天下で署名活動をしているとき、
幼稚園児くらいの女の子がやってきて、「わたしのお小遣いです」
と言って100円を募金箱に入れてくれたこともありました。
「めぐみちゃんの弟さんですよね。がんばってください」
と言われたこともあります。そうした温かい声を幾度も
幾度もいただいたことで、私たちは折れずにこうして
今日も声を上げることができています。
以上、引用でした。
横田拓也さんは、マスコミの報道しない力によって拉致事件は
黙殺された、と述べています。めぐみさんは昭和52年11月15日に
拉致されました。その後、北朝鮮による拉致の可能性を、
産経新聞の阿部雅美さんによるスクープ記事が出ましたが、
他の新聞やメディアは、「産経は奇をてらっている」として
黙殺しました。昭和63年国会で梶山清六国家公安委員長が
北朝鮮による拉致の可能性を認めたにもかかわらず、
その時、記事にしたのは産経と日経のみでした。
もし、当時の時点で大々的に報道され、国民的話題になって
いたとしたら、2002年10月15日に帰国できたのは5人だけでは
なかったのではないでしょうか。朝日、毎日、読売が拉致事件を
報道するようになったのもこの時からです。
朝日、毎日、読売、そしてテレビ局は猛省すべきだと思いますが、
どこまで反省しているのか、謝罪もないまま今日に至っています。
（文責 谷渕篤孝）
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2024年3月26日（火）
No.1316
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